Logoseum│博語館

Shin Sugawara // 菅原真

Art Of Action│イントロダクション

哲学を変える行動主義革命へ

 『Art of Action(行動の芸術)』とは、哲学を【語る】ことから【行動する】ことへと根本的に転換する思想運動である。この運動の核心は、哲学的な思想や倫理が、言葉の領域に留まることなく具体的な行動を通じて実装され、美的価値を帯びることにある。

 哲学は本来、人間がいかに生きるべきかを問う営みであった。しかし、現代に至る哲学史の中で、理論と行動の乖離が深刻化した。抽象的な言語遊戯や空虚な批評が氾濫する一方、現実世界の変革に寄与する実践的な思想は希薄になってしまった。Art of Actionは、この状況に対する根本的な異議申し立てである。

哲学史の問題:【言葉】と【行動】の乖離

 哲学史において、ソクラテスやマルクス・アウレリウスのように、自らの人生そのものを哲学的実践として体現した哲学者が存在した。しかし、プラトン以降の哲学は次第に現実世界から離れ、観念的で抽象的な理論に傾倒していった。

 現代の哲学界、特にポストモダン思想においては、この傾向がさらに極端化し、《すべては解釈である》という相対主義が蔓延した。これは一見自由に見えるが、実際には現実への具体的介入を放棄する思想的怠慢に過ぎない。

なぜ今、Art of Actionか?

 現代はSNSやメディアを通じて誰もが容易に【評論家】になれる時代だが、その大半は行動を伴わない批評に終始している。問題の本質を指摘するだけで満足し、現実の変革を実現する責任を放棄する傾向が強まっている。

 Art of Actionは、こうした状況に対し、《行動することが美であり、倫理であり、哲学そのものだ》という理念を提示する。言葉の中で完結する批評から脱却し、思想を具体的な実践を通じて社会に実装することを推奨する。

 現時点において最も賞賛すべきは、能登半島地震・豪雨などの災害ボランティアだ。ゴールデンウィークを余暇ではなく災害支援に使う人々こそ、現代日本で最前線を戦うAOA体現者であり、最大級の賛辞を送るべき実践哲学者である。

 もちろん、こう述べる私自身に向けられる批判もあるだろう。「では、なぜお前は能登半島に行かず、ウェブサイトを作っているのか?」という問いがそれだ。私がここで行動を語るのは、自身が最も貢献できる領域で哲学的な啓発や思想的基盤を整えることにより、多くの人々の行動を促し、持続的で広範な変革をもたらすことを目指しているからである。行動には様々な形があり、それぞれが最も有効に社会に貢献できる場を選ぶことが重要だ。

シリーズの展開:Art Of Actionから見る哲学史

 本シリーズでは、哲学史を再検討し、各哲学者がどれだけその思想を実際に生きたか、美的・倫理的に行動として実装したかを明らかにする。

  • 第一章:ソクラテス —— 対話を生きる
  • 第二章:プラトン —— 理論の牢獄
  • 第三章:マルクス・アウレリウス —— 権力の美学
  • 第四章:道教の無為 —— 積極的不介入
  • 第五章:ニーチェと怒れる哲学者たち —— 倫理的怒りの行動化
  • 第六章:ポストモダン批判 —— 言語ゲームの限界
  • 第七章:現代の倫理的実践者たち —— グレタ・トゥーンベリ、マララ・ユスフザイ、落合陽一、大谷翔平

Art Of Actionの使命

 この思想運動は、単なる理論や哲学的議論を超え、人々が実際に自らの審美眼に従い行動を起こすことを促すものである。行動を通じてのみ哲学的思想は真に社会的な影響力を持ち、現実世界を美的・倫理的に変革できる。

 私は、Art Of Actionを通じて、哲学の本来の使命を取り戻し、新たな倫理的行動主義を提唱する。この運動に参加し、自らの思想を生き、実践し、社会を変革する美学的行動の一員となることを呼びかける。

『Art Of Action(行動の芸術)』論の骨子

  1. 人間は本質的に文化的・審美的な動物であり、あらゆる行動は自己表現や美的価値を持つ。

  2. 『行動の芸術』とは、理論や思想を抽象的に提示するのではなく、それらを実際の行動に具現化し、人生そのものを作品として表現する思想である。

  3. 芸術的な行動とは、自らの審美眼に従った主体的で創造的な実践である。一方、芸術的でない行動とは、受動的、無自覚、非主体的で創造性のないものであり、これは美的に醜い。

  4. 自己の行動を芸術作品と捉えることにより、外部の社会規範や倫理ではなく、自分自身の内的基準(行動の美学)に従って意思決定できる。

  5. 『行動の美学』は個人が行動を評価・選択する枠組みであり、『行動の芸術』はその美学を実際に実践し、表現する具体的行動を指す。

  6. 行動すること自体が重要であり、実装の成功や失敗は二次的な問題である。継続的な行動は必ず周囲へ連鎖し、社会に具体的な影響をもたらす。

  7. 行動しない人間(評論だけで実装をしない人、主体的行動を放棄する人)に対しては、明快に否定的評価(批判)を下す。一方、具体的に小さな実践を繰り返す人間は尊敬する。

  8. 怒りや不満の根源は、あらゆる状況において一貫して『行動の美学』に反する芸術的醜さへの直感的反発として生じる。

  9. 自己の審美眼に従った行動を貫くことにより、人生に迷いのない統一性をもたらし、強力な思想的・社会的影響力を持つことが可能になる。