Logoseum│博語館

Shin Sugawara // 菅原真

第1章│現状の課題と憂い

1. パパ活(日本型裏経済)

 日本では「パパ活」がSNSやマッチングアプリを通じて拡大し、大学生や若い社会人、シングルマザーなどが副収入を得ている。
 しかしその多くは 非課税の裏経済 に依存しており、法的な保護も不十分だ。
 表面的には「合意」に見えても、実態は経済格差に基づく不平等な取引である。
 さらに性感染症の検査や管理が組み込まれていないため、梅毒やクラミジアなどの 感染拡散ルート となっている。


2. シュガーベイブ(アメリカ型経済依存)

 アメリカでは「シュガーダディ/シュガーベイブ」型の交際契約が合法的に運営されている。
 大学生が「学費や生活費」のために年長男性と契約し、経済的支援を受ける。
 日本のパパ活と構造は同じであり、ただ「合法の皮」をかぶっているに過ぎない。
 避妊交渉の非対称性、複数パートナーとの並行関係により、性感染症リスクはむしろ高い。
 つまり、日本のパパ活もアメリカのシュガーベイブも共通して「性病の温床」となっている。


3. ネグレクト

 日本の制度は「性愛と養育を家庭に閉じ込める」設計思想に依存している。
 だが現実には、家庭が破綻すれば子どもは簡単に危険に晒される。
 ネグレクト(育児放棄・子育て放棄)により、子には一生の心の傷やトラウマが残り、最悪の場合、幼い命が奪われる。
 それでも社会は「親の責任」として処理し、制度的介入を最小限にとどめている。
 家族依存モデルの失敗が、心身の健康被害・人命被害を生み続けている。


4. 障害者ケアの限界

 障害を持つ人々の生活支援は、今も親に大きく依存している。
 親が老化し、あるいは亡くなれば、当事者は孤立や困窮に直結する。
 福祉制度は整っているように見えても、「家族が支える」ことを前提としている限り、家族が崩壊すれば安全網は途切れる。
 障害者ケアを親任せにする制度は、時代遅れであり危険である。


5. 不倫・裏垢男子の現象

 既婚者との関係は本来「慰謝料」というリスクを伴う。
 多くの人はそのリスクを避けるが、ごく一部の男性はそれすら「スリル」として楽しみ、不倫関係を一極集中させている。
 新興のインターネットTVなどの番組では「裏垢男子の不倫生活」が娯楽的に消費されている。
 これは、性愛を家庭に閉じ込める制度設計がすでに破綻している証明である。
 家庭が性愛の唯一の枠組みとされるからこそ、不倫は逸脱として娯楽化され、その一方で「普通の人」がアクセスできない歪んだ集中が起こっている。


まとめ

  • 日本のパパ活、アメリカのシュガーベイブ──形は違えど、どちらも闇市場に依存し、性感染症を拡散させている。
  • 家庭は性愛と養育を一任される構造として機能不全を起こし、ネグレクト・障害者孤立を生み出している。
  • さらに不倫や裏垢文化は、家庭依存の制度破綻を可視化している。

 性愛と家族制度の両方が現代社会の中で限界を迎えている。
 これを切り離し、社会全体で再設計することこそ、エロス・ゲートウェイ構想の出発点である。


📑 エロス・ゲートウェイ構想 第一部「思想編」目次