Logoseum│博語館

Shin Sugawara // 菅原真

エロス・ゲートウェイ│導入後の未来

※本章では、日本語のあいまいさを回避するため、「愛=love」「性愛=eros」と英語を併記しています。

  • 愛(love):親子愛、夫婦愛、友情、思いやりなど、情緒的な結びつきを指します。
  • 性愛(eros):性的な欲求や親密性を中心とする関係を指します。

1. 家庭と結婚制度の変化

  • 結婚は「性愛(eros)と養育(child-rearing)を一任される装置」ではなくなり、愛(love)・生活・協働に重点が置かれるようになります。
  • 貞操義務は再定義され、過剰な制裁やスキャンダルの根拠とはならなくなります。
  • 婚外子も「正統/不正統」と区別されず、すべての子どもが社会の養育対象として平等に保護されます。
  • 愛(love)と性愛(eros)を家庭の中で両立させることだけが善ではなく、家庭外で性愛(eros)を充足することも自然であり許容されるという価値観が再び位置づけられます。

2. 夫婦関係と中年期以降の利用

  • 中年以降の妻が夫との性交渉を避けたい場合でも、EGを利用する選択肢が生まれます。
  • これは不倫ではなく、制度に基づく 性愛(eros) の利用として位置づけられます。
  • 夫婦は性愛(eros)を無理に抱え込まず、愛(love) と生活共同体としての協働を継続しやすくなります。

3. 若年層と安全性

  • パパ活や未成年買春といった闇市場は縮小します。
  • 若者は裏社会に流されず、制度の枠内で保護されます。
  • EGのバックヤード労働や教育(education)支援により、居場所のない未成年が新しい生活基盤を得ることができます。

4. 提供者の社会的地位

  • 提供者は「裏稼業の従事者」から「ライセンスを持つ事業主」へと移行します。
  • 所得は申告され、社会保障や信用制度と接続されます。
  • 性愛(eros)労働は自立した職業として認知されます。

5. 経済と再分配

  • 性愛税は100%がベーシックインカムとして国民に還元されます。
  • EGに参加する人もしない人も恩恵を受け、格差縮小の仕組みが強化されます。
  • 教育(education)、福祉、医療に充てる余力が生まれ、社会全体のセーフティネットが厚みを増します。

6. 医療と公衆衛生

  • 感染症検査や健康診断が制度に組み込まれ、性感染症の拡大が抑制されます。
  • 精神的ケアやカウンセリングも提供され、性愛(eros)は「リスク源」から「ウェルネス資源」へと転換します。

7. 文化と言葉の変化

  • 性愛(eros)は「隠すべきもの」から「人間の営みとして肯定されるもの」へと位置づけが変わります。
  • 不倫や婚外子を否定的に扱う社会的基盤は消滅し、ラベルとしての「不倫」「婚外子」自体が不要になります。
  • 結婚制度が担ってきた身分・財産・権力の固定も緩和され、出自に依存しない平等な社会参加の基盤が形成されます。
  • 愛(love) は家庭や友情の中で尊重され、性愛(eros) は制度の中で安全に扱われるという役割分担が確立します。
  • 言語表現でも、「I love you」は情緒的な結びつきを、「I eros you」は性的な親密性を示すといった区別が意識され、文化的にも新しい表現の層が生まれます。

8. 国際的展開

  • 日本は「世界で最も安全な性愛(eros)の都市」としてブランドを確立します。
  • EGは観光・医療・文化を統合した「セクシャル・ウェルネス産業」として国際的モデルとなります。
  • 倫理性と透明性を備えた制度設計は、海外においても参照対象となります。

📑 エロス・ゲートウェイ構想 第一部「思想編」目次